いぼ痔(内痔核)とは

長期にわたる便秘や下痢などを原因として肛門の血流が低下し、肛門の静脈叢に溜まった血液によって“いぼ”のような腫れができる病気が「痔核」です。そのうち、歯状線の内側にできるものを「いぼ痔(内痔核)」と言います。悪化すると、排便時などにいぼが肛門の外へと脱出します。
いぼ痔(内痔核)の原因
便秘に伴ういきみ癖、デスクワーク・運転などによる肛門の圧迫、繰り返しの下痢による肛門への刺激などが主な原因となります。また女性の場合、妊娠後期の腸骨動脈の左右からの圧迫、分娩時の強いいきみなどを原因としていぼ痔を発症することがあります。
いぼ痔(内痔核)の症状
排便時の出血が主な症状です。通常、痛みはありません。ただ、悪化すると排便時に肛門からいぼが脱出します。脱出したいぼは、やがて自然に戻らなくなり、最終的には常に脱出したままとなります。脱出時間が長くなると出血はよりひどくなり、お尻全体に腫れが広がったりすることもあります。
いぼ痔(内痔核)の検査方法
■ 大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)
大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は、最も一般的で信頼性の高い検査方法です。 大腸カメラ検査にかかる検査時間は約20~30分程度です。内視鏡を肛門から挿入し、大腸全体を直接観察します。この方法により、疑わしい病変があれば即座に組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べることが可能です。
いぼ痔(内痔核)の治療方法
以下のような治療と共に、再発防止のための排便習慣・生活習慣の改善に取り組むことが大切になります。
■ 薬物治療
錠剤・舌下錠・顆粒剤といった内服薬、注入軟膏・坐薬といった外用薬による薬物療法があります。
■ 注射療法
内痔核に対して、4段階で薬剤を注射して縮小させる治療です。切開が不要であり日帰り治療が可能ですが、医師には熟練の技術と十分な経験が求められます。手術と同等の効果・治癒率を有する優れた治療です。
■ 手術
いぼ痔の奥の血管を縛った上で、痔核を切除します。手術が必要になった場合には、提携する病院をご紹介いたします。
いぼ痔(内痔核)の分類
いぼ痔は、痔核の脱出具合で症状や治療方法が異なります。
■ Goligher(ゴリガー)分類
| 脱出の度合い | 症状 | 治療方法 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 | 痛みもないが、便に鮮血が付着することがある。 痔核の脱出はない。 | 保存療法 |
| Ⅱ度 | 排便時に脱出するが、痔核が自然に戻る。 | 外来療法 |
| Ⅲ度 | 排便時に痔核が脱出する。 痔核が自然に戻ることがなく、指で押すことで戻る。 | 手術療法 (ジオン注射) |
| Ⅳ度 | 痔核を指で押し込んでも戻らず、脱出したままである。 痔核から粘液が染み出ることで下着が汚れる場合がある。 | 手術療法 (ジオン注射) |